2007年11月の独り言

4(日)昨日に続いて行楽日和。釣り日和でもあるかな。

日ごとに空が高くなって、朝夕の空気は澄み、街に住んでいるワタクシでも毎日見る夕暮れが楽しみなほど、その夕焼けは美しい色と広がりを見せています。





どちらも、うちの前のバス停から撮ったものです。撮らずにいられなくて携帯電話のカメラで撮ったので画像はよくありませんが、それでも撮りたい気持ちにさせる夕空はこの季節がやはり一番だと思います。うちの前のバス停からの画像、という事はつまり「これから仕事に出かける」という事でもあります。本当は家路につく時に見る夕焼けこそ最高だと思うのですけれどねぇ。。たとえば、夜に練習のある合唱団だと、この時期夕日が沈む頃に出かける、という事になります。バスや電車の中で、帰宅する人に混じってやる気を起こさなければならないのです。気持ちが疲れている時などは、かなり気合いが要ります。夜のお仕事のおネエさんが毎日バッチリお化粧をするのは、その気合いの表れもあるんじゃないでしょうか。ワタクシの場合、お化粧を濃くするのもどうかと思うので、気に入った服を着てみたり、新しい靴をおろしてみたり、夜に出かける仕事の時には「よしっ!」と姿勢をよくするきっかけを時々作って発奮していたりするのです。


12(月)くもり時々雨。ちょっと冷たい雨。

ワタクシ、2歳くらいから小学5年生くらいまで父の仕事の都合で高松に住んでおりました。通っていたピアノ教室は、高松でも有数の生徒数を誇るエリート教室で、幼稚園のヤマハの先生からご紹介を受けて通い出したものの、なかなか環境には馴染めない(エリートにはなれない)生徒でした。それでも周りの同年代のお友達に感化されて、時々オーディションを受けたり発表会に出る経験を積む事で、人前で演奏する事の楽しみを少しずつ知っていったのです。
その頃、門下生の中に高松市立高松第一高校在学中に学生コンクール高校の部で全国第一位を受賞(その後東京芸大に進学!)という超エリートがいる事を知りました。その人は名前を川中順子さんといい、ワタクシが初めて彼女の演奏を聴いたのは、たしか発表会に出られた時でした。その曲が何だったのかという事より、その存在感に圧倒された事を覚えています。佇まいはもう高校生だとかいう括りをすでに超越していて、いかにも練習熱心でストイック、お友達と楽しげにおしゃべりをしているような姿を見た事はありませんでした。その神秘的な雰囲気とその演奏に、ワタクシはただ「ピアノをあんな風に弾けるようになりたい!」と漠然と憧れたものです。
そして、数年前ある日本歌曲の集まりに関わった時、そこの看板ピアニストとして、東京を中心に川中さんが活動されていると知りました。京都での演奏会で一度だけ同じ舞台に立った事もあるのですが、その時はまだ自分に自信がなくて、声をかける事ができませんでした。いつかお目にかかったら「高松での教室の後輩です」と自信を持ってご挨拶をしたい、そんな思いを抱きながら活動を続けていたワタクシに、去年またその歌曲の会からコンサートの伴奏の依頼があり、今度こそちゃんとご挨拶ができるチャンスがあるかもしれない、そう思っていました。ところが、川中さんは2006年2月にご病気でまだ40代の若さで亡くなってしまったのです。その会に所属する歌い手さんと何気なく普通の会話をしていた中でその訃報を知る事となったのですが、静かに大切に積み上げていたものが色を失って音もなく崩れ落ちていくような心地がしました。時間を積んでいって得るものもあるけれど、失うものがあるのですね。
今年もお話を頂き、来月大阪のフェニックスホールにてコンサートに出演し、たくさんの日本の歌の伴奏をします。川中さんが初演でピアノを弾かれた曲を今回弾かせて頂くご縁もあり、参考音源としてその初演の演奏の録音を聴きました。久しぶりに聴く彼女のピアノは、変わらず美しい音で飾らず自然でした。曲調や詩の内容とはまた別に心が動かされて涙が出そうになりました。ご冥福を祈りつつ、敬意を表するためにも、心して演奏したいと思います。


17(土)快晴。昨日から寒い。

今年は夏が長くて、暦の上ではすっかり秋になってもまだ汗ばむ日が続いたりしておりました。お陰で、この時期に見頃を迎えるはずの紅葉がずいぶん調子を狂わせているようです。赤くならずに傷んでしまう葉っぱもあるとか。なんてこった。
で、今日は12/9に定演を控えた京都府立大学合唱団の練習でした(今後の放浪予定参照)。ワタクシ今回、ここの合唱団で常任ピアニストとして活躍中の川口さん(大学の後輩です)と2台のピアノデュオをするのですが、本番までに合わせは3回、そのうちの2回目が今日だったのです。今日は児童合唱も入って、全体合わせとなりました。彼らの存在が場の空気を和ませて、OBOGの方と現役とでさしずめ「3世代合唱」みたいな感じでした(若いOBOGさん、ごめんなさいね)。
駅から練習場に向かう道には街路樹の落葉がたくさん落ちていて、今年初めて「落葉を踏みしめて歩く」事を楽しみました。人間の感性って、いろんな自然現象に育ててもらう部分も重要なんじゃないかしら。時間が人の力では操作できないように、自然界の操作できない事に「あきらめる」んじゃなく「認めた上で共存する」というような。
練習後、見上げたら明るい月が。



透き通った冷たい空気は、確実に近づいてきた冬を感じるものでした。次回は手袋が要るかもな。


26(月)いよいよストーブの季節。今日は寒さがマシだけど。

24日に行われた一年ぶりの大津曳山コンサートも無事終了。あたたかいお客様と共演者に本当にいつも恵まれているワタクシであります。感謝であります。打ち上げでの「ヴァイツェン」というドイツビールが超美味でした。ぷはー。
さかのぼって23日は名古屋での貞謙さんと淳子さんの披露宴に出席。「乾杯のご発声をお願いします」と依頼されていたのですが、あんなに本格的な披露宴では初めてですし、あんまり変に笑いばかりとってもいけないし(苦笑)、という訳で若干緊張しつつあんな感じになりました。失礼な事など口走ってなかったかしら。新郎新婦と同級生の道産子ばーちゃんのスピーチは可愛くて、指揮をする前のみっちーさんのスピーチは素敵で、それを聞いている仲間たちもみんなニコニコしているし、やっぱりこういうお慶びの席での再会は嬉しい事です。OBOGで一緒に歌ったラターの最後のハモリは格別に綺麗でした。
さて、この時期になると、いろんな舞台が次々とあって忙しくなります。四六時中、頭の中に音が鳴っている状態に近いかもしれない。ストーブに灯油がきれないように補充して、ずっと点けているような。うまく気持ちを循環させて空気の入れかえをしないと、部屋を閉め切った中の長時間のストーブと同じで、空気が悪くなってカラダに悪い事になります。今朝は風邪っぽいダルさを感じたのでお仕事をキャンセル、ただし明日以降に控えた合わせのための練習もせねばならず、洗濯物を取り入れたりもしつつ、家の中にいてもなんだかバタバタしています。そろそろカラダの空気の入れ替えを、と思ったその時「ピンポーン!」と鳴りました。多治見の両親から信州のお土産でした。大好きなわさび漬、おやき、にじますの甘露煮、くるみのお菓子などなど。冬が始まる合図のような宝箱でした。カラダに新しい空気が入ったような気がして、やる気が俄然出てきました。さぁ、今日もこれから大学合唱団の練習に行ってきます!

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